チラシやパンフレットを制作するとき、私はA案・B案と、方向性の違う2案をご提案することがあります。
ただ「2つ作って好きな方を選んでもらう」ためではありません。
2案を実際に見比べることで、お客様自身が「自分は何を大切にしたいのか」を判断しやすくするためでもあります。
A案は「お客様のご要望をカタチにする」
A案では、お客様からいただいたご要望をできるだけ忠実にデザインへ反映します。
「この部分を大きくしたい」
「この色を使いたい」
「この商品を一番目立たせたい」
打ち合わせで伺ったイメージを、まず目に見えるカタチにします。
言葉だけで話していたものが実際のデザインになることで、
「そうそう、こんな感じ」
あるいは、
「思っていたのと少し違うかも」
ということも分かってきます。
B案は「デザイナーならどうするか?」
一方のB案は、同じ情報を使いながら、デザイナーとして「こちらの方が伝わりやすい」と考えた方向で制作します。
たとえば、
情報の優先順位を変える。
文字の大小を変える。
色を使う場所を絞る。
写真をもっと大きくする。
逆に、目立たせない情報をつくる。
お客様のご要望から少し離れたとしても、**「このチラシの目的を考えると、私はこうした方がいいと思います」**という案をご提案します。
2案あるから違いが分かる
ここが、2案をご提案する大きな理由です。
頭の中だけで、
「もっとシンプルにした方がいいですよ」
「こちらを目立たせた方がいいですよ」
と説明されても、なかなかイメージしにくいものです。
ところがA案とB案を実際に並べると、その違いが見えてきます。
「A案の方が自分たちらしい」
「B案の方が内容が分かりやすい」
「B案を見て、最初に考えていたA案の良さが分かった」
そんな判断ができるようになります。
そして、ときには、
「A案のこの部分と、B案のこの部分を組み合わせたい」
という第三の方向が見つかることもあります。
「選択肢を増やす」のではなく「判断しやすくする」
選択肢は、多ければいいわけではありません。
3案、4案、5案と増えていけば、逆に「どれがいいのか分からない」となってしまうこともあります。
だから私が大切にしているのは、意味のある違いを持った案を見せること。
A案とB案を比べることで、
「何を一番伝えたいのか」
「誰に伝えたいのか」
「どんな印象にしたいのか」
が、より明確になっていきます。
デザインは一緒に答えを探していくもの
デザイナーが考えたものが、必ず正解というわけではありません。
逆に、お客様からいただいたご要望をそのままカタチにするだけがデザイナーの仕事でもないと考えています。
お客様が持っている商品やサービスへの理解。
そして、
デザイナーが持っている「どう見せれば伝わるか」という視点。
この2つを組み合わせながら、より良い答えを探していく。
そのための方法のひとつが、A・Bの2案提案です。
2案作るのは、選んでもらうためだけではない。
比べることで、「本当に伝えたいもの」を見つけるため。
私はそんな考えで、必要に応じて複数のデザインをご提案しています。
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